第5章 新規事業立ち上げ、怒涛のビジネスマン

スマホに1本の電話が…
電話の相手は幼馴染のMでした。

目的は仕事を手伝ってくれないかという誘いでした。

 

Mは、中小企業の経営者。
すごい勢いで業績を伸ばしており、人手が追い付かず力を貸してくれる人材を探していました。
そこで、僕に声がかかったわけです。

 

実はMは以前にも僕に声をかけてくれたことがあったんです。
その時は、Mの会社で働くよりも、今、勤めている会社を大きくする事のほうにエネルギーを注ぐほうが楽しそうだったので断りました。

 

そのMからの再度の誘い。
しかも、ただ社員となって働いてくれという内容ではなく、実は新規事業を立ち上げて欲しいというとんでもないオファーだったのです!

 

正直、自分にそんな大仕事ができるか不安でした。
もし失敗したら、友人の会社を潰しかねない。
そうすれば、友人としてもいられなくなる。

 

しかし、今の会社に居続けることの閉塞感を考えると、この嘘のようなビッグチャレンジに挑む勇気が沸々わいてきたんです。

「嫌なら辞めろ」

会長から何度もその言葉を聞いていたので、会社に対する後ろめたさは全くありませんでした。

 

妻に相談すると、

妻「チャレンジしたいんやったら、やってみたら?」

と、頼もしい一言。
僕が悩んでいるのを陰で見ていてくれたんです。


僕「よし、いっちょやったるか~!」

 

そう言葉に出すと、スッキリしました。
こうして、僕は10年務めた会社を辞める事になったのです。

 

Mの会社にとっての新規事業。
それは、実は僕が10年務めた会社でやっていた事業と同じでした。
つまり、全く新しい事を始めるわけではなく、今まで経験してきた事を100%活かせる事業だったのです。

 

退社の際には、僕以上に会社に嫌気がさしていた同僚Hに一緒にやらないかと声をかけました。
彼は、優秀な営業マンです。

 

僕と一緒で、権力に媚びないタイプなので社長からは嫌われていました。
彼は、飛びぬけて営業成績が良かったので、それなりの給料は貰っていたはずです。
なので、誘ってもこないかなと思っていましたが、2つ返事でOK。
面白いやつです。

 

新規事業はH君と2人で起こすことに決まりました。
他に人員はいません。
社長のMは、僕に全権任せると言ってくれたので、失敗すれば責任は100%僕です。

 

前の会社にいた時に、やりたかったけど出来なかった事。
その構想がすでにあったので、それをH君に説明し理解してもらうことから始まりました。
飲み込みの早い彼は、すぐに共感してくれて、事業は動き出しました。

 

しかし、すぐに壁にぶち当たります。
僕は技術職、H君は営業職。
2人とも、それぞれ得意な分野はありますが、集客は未経験だったのです。

 

会長は集客が非常に上手でした。
営業マンが追客できない程の数の見込み客を常に用意していました。
なので、集客は簡単にできるものだと、簡単に考えていたのです。

 

チラシをいくら売っても、反響がない。
これほど集客でつまづくとは思っていませんでした。

 

資格勉強よりも、マーケティングを学んでおくべきだったと本当に後悔しました。

 

「とにかく集客に関する知識がなさすぎる。」

 

それを自覚した僕は、必死でマーケティングの本を読み漁りました。
特に影響を受けたのが、神田正則さんのピンク本。

しかし、すぐに成果が表れるわけでもなく、赤字の垂れ流しは続きます。

 

いよいよ撤退も考えないといけないと覚悟を決めた頃、ポツポツとお客さんの来場が増え始めたんです!
少しづつですが、会社の売上も伸びてきました。

 

集客のコツがなんとなくわかってきた頃です。

 

「いけるかもしれない」

 

手ごたえを感じた僕に、またも災難がふりそそぎます。

 

⇒第6章 内容証明到着。お前を訴えてやる!

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